ここはとある中学校。この学校に、生徒になんとなく嫌われている中年のおっさんの英語教師がいました。名前を岸本先生と言いました。
その岸本先生は、別に悪いことはしていないんですが、単に暗くて地味で話もつまらないし、授業もつまらないという理由で嫌われていました。顔も地味でした。ぶっちゃけ、同僚の他の先生たちからも、なんとなく嫌われていました。
そして今日も教室では、その件の岸本先生のつまらない英語の授業が始まりました。
「This is a pen(これはペンです)」
「Her name is Nancy(彼女の名前はナンシーです)」
「I like milk(私は牛乳が好きです)」
みたいな感じで、相変わらず、どうでもいいようなつまらない授業を岸本先生はやっていました。
岸本先生の授業は単調で、別に冗談とかも言わないので、生徒はあきあきしていました。
実は岸本先生は人づきあいが苦手で、本当はギャグの一つでも言って、生徒をドッカンドッカンと笑わせたいと思っていました。しかし、なかなかそのチャンスがなかったのです。
すると、一人の可愛らしい女の子の生徒が、おずおずと手を上げました。
「あのぅ・・・先生、・・・おトイレ行っても・・・いいですか?」
恥じらいながら、手をあげて、ぼそぼそと言う女生徒。ああ、もう可愛らしいこの上ないです。きっと休み時間に友達とのおしゃべりに夢中になってしまい、トイレに行くのを忘れてしまったのでしょう。それじゃ、しょうがないよね。うんうん、わかるわかる。僕が先生なら、もちろん許しちゃうよ。何なら一緒にトイレまでついて行ってあげるさ!え?結構ですって?そ、そうかぁ、先生残念だなぁ。
まあ、そんなことはどうでもいいとして、この女生徒の発言にひときわ目を輝かせた人間が教室の中にいたのです!
一体それは誰なのか!?
それは、他ならぬ岸本先生だったのです。
岸本先生はこのチャンスを逃しませんでした。まるでプロ野球選手の4番バッターが、相手ピッチャーのすっぽ抜けたヒョロヒョロのボールを、逃すことなく観客席にぶち込むかのように逃しませんでした。
次の瞬間、いつもは地味でつまらない岸本先生の口から、驚きの発言が!!
「Small or big?(小なのかい?それとも大なのかい?)」
・・・この発言によって、教室はめちゃくちゃ静まりました。そして、可愛らしい女生徒はすごく嫌そうな顔をして、岸本先生を睨んでました。もう、教室中シラけたムードになってしまいました。もはや、授業どころじゃありません。
う〜ん、まあ、中学生って下ネタとか好きじゃないですか。ウンコとか、めっちゃ好きじゃないですか。ウンコって言う単語ひとつで大笑い出来るお年頃じゃないですか。たぶん岸本先生も、とりあえず下ネタ言っとけば絶対ウケると思ったんでしょうね。
でも、大の大人が、しかも先生が中学生の可愛らしい年頃の女生徒に
「おいおい、しょんべんかぁ!?それともウンコかぁ?ゲヘヘヘッ!!」
なんて言ったら、引くに決まってるわ。
あ、いや、もしかしたら普段から冗談とか言ってて、とっても面白い人気者の若くてイケメンの先生がコレを言ったとしたら、女生徒から
「やだぁ、先生ったら!おっかし〜」
てな感じの暖かいリアクションが返ってきて、そのあと教室中が
「ワハハハハッ!」
みたいにドッカンドッカン笑い声が絶えない、楽しい空間になったかもしれない。
けれどもね。つまらないと評判の、嫌われ者の岸本先生がコレを言った場合は、女生徒から
「(はぁ?何こいつ、キモイ、死ねばいいのに)」
とか思われて、教室中がシーンとしちゃって、挙句の果てには、その女生徒に恋するガキ大将の郷田君から、
「おい岸本、てめぇ山田(女生徒の名前)に何言ってんだよ!?あぁ!?あとで裏庭来いや!」
みたいなこと言われて、素直に裏庭に行ったら、郷田君の子分みたいなのもいっぱいいて、集団リンチされちゃうみたいなことにもなりかねません。
同じギャグでも、言う人によって笑いを取れるか、シラけさせるかが決まってしまいます。
いやぁ、ギャグの世界ってのはシビアですね。
で、案の定岸本先生は、今まで以上に生徒たちからめちゃくちゃ嫌われて、さらにガキ大将の郷田君とその子分たちに半殺しにされかけて、財布からお金も抜き取られましたとさ。
先生って、とっても大変ですね。
ちなみに、郷田君とその子分たちは、そのお金で焼肉を食べて、その後キャバクラに行き、ドンペリを飲みました。
未成年だったので、捕まりました。
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